2026年10月12日(月)
積極財政の「規律づくり」と、細る家計消費
- 政府は積極財政の枠組みを点検し、租税特別措置や補助金の見直しを年末まで深掘りする
- 8月の家計消費は実質3.1%減。食料品の消費税引き下げ法案と防衛・土地規制の議論が続く
今日の要点
- 経済財政諮問会議が開かれ、政策の分析・検証を政策判断につなげる仕組みづくりが指示されました。
- 租税特別措置、補助金、基金の見直しは「決して十分なものではない」とされ、年末まで続きます。
- 8月の家計消費は、実質で前年より3.1%減りました。
- 防衛施設の周辺と国境の離島で、土地取引を規制する制度をつくる方針です。
積極財政に「点検の仕組み」
事実
10月9日、第14回の経済財政諮問会議が開かれました。首相は、政策の分析・検証を政策判断につなげる仕組みをつくるよう指示しました。景気が想定から外れた場合に備え、複数の前提で歳出と歳入を見直せる形にします。同じ日、官房長官は租税特別措置、補助金、基金の見直しについて、各省の自己点検の結果は「決して十分なものではない」と述べました。年末にかけて、さらに深掘りします。
T&S の見方
自国通貨建ての国債で国内投資を進める路線は維持されています。複数年で管理する方式は、単年度の均衡にこだわる緊縮論から一歩離れたものです。ただ、官房長官は「市場の信認」の確保も掲げました。海外の金融資本の評価が政策の手綱になる構図は残っています。反対の見方では、点検の仕組みがあってこそ、金利上昇を抑えながら積極財政を続けられます。
経営者への含意
補助金や税制優遇は、年末に向けて絞り込まれる可能性があります。自社が使っている制度の継続性を、今のうちに確認してください。
家計消費の減少と食料品の減税
事実
総務省によると、8月の二人以上の世帯の消費支出は、実質で前年同月より3.1%減りました。政府は「消費税・支援金法案」を準備しています。閣議後の説明では、飲食料品の消費税率を令和9年4月から1%に引き下げる内容に触れました。所信表明演説では、財源は赤字国債に頼らないとしています。
T&S の見方
内需を下支えする減税は、家計を通じて国内の生産者を支えます。食料の国内生産を守る観点でも意味があります。一方、財源を赤字国債以外に限ると、別の増税や歳出削減と相殺されるおそれがあります。反対の見方では、税率の引き下げより、所得の低い層に絞った給付の方が効率的です。
経営者への含意
小売や外食は、税率変更に向けたシステム改修と価格表示の準備が必要です。消費の弱さが続く前提で、来期の需要計画を立ててください。
土地規制と経済安全保障
事実
10月1日、首相は自民党の外国人政策本部から、安全保障と土地法制に関する提言を受けました。所信表明演説では、防衛施設の周辺と国境の離島で、所有権の移転などを規制する制度をつくるとしました。法人の実質的な支配者を登録する制度の導入も図ります。経済安全保障上、特に重要な分野は特別会計で別枠管理し、複数年の財源を確保する方針です。
T&S の見方
土地と法人の実際の持ち主を国が把握することは、主権を守る基本です。外国資本による取得を後から追う状態からの前進といえます。反対の見方では、規制の範囲が広がりすぎると、対日投資と不動産市場が冷え込みます。
経営者への含意
対象区域に土地を持つ企業は、取引の手続きが増える前提で計画してください。株主の実質的な支配者を、今から整理しておくと安心です。
防衛とエネルギーの年末期限
事実
所信表明演説で、首相は防衛に関する三つの文書を年末までに見直すとしました。エネルギーでは、原油などの特定の経路への依存を下げる制度を整えます。エネルギーの需給構造を強くする総合パッケージとして推進し、年内に制度と予算を盛り込んだ新たな戦略をまとめます。
T&S の見方
防衛力とエネルギーの調達先を、自国の判断で確保する方向です。輸入経路の多角化は、自給に近づく現実的な一歩です。反対の見方では、防衛費の拡大は他の歳出を圧迫し、財政の余力を削ります。
経営者への含意
防衛とエネルギーの関連分野では、年末に予算と制度の大枠が固まります。参入や設備投資の判断は、その発表を待って進めてください。