T&S Asset Management

2026年10月13日(火)

地方景気は持ち直し、稼ぎは海外から

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今日の要点

  • 日銀は東北と四国の景気判断を引き上げ、引き下げた地域はありませんでした。
  • 9月の景気ウォッチャーは、現状判断DIが上昇し、先行き判断DIは低下しました。
  • 8月は貿易収支が赤字に転じ、第一次所得収支の黒字が経常黒字を支えました。
  • 経済産業省は、サプライチェーンを経由した不正アクセスへの注意を呼びかけました。
  • 洋上風力で、政府が初期段階から調査する区域に、新たに2区域が選ばれました。

地方景気は判断引き上げ、先行きには慎重さ

事実

10月8日、日銀は地域経済報告を公表しました。東北と四国の景気判断を引き上げ、残る7地域は据え置きました。雇用・所得は全9地域で改善が続いています。支店長会議の報告では、人材の確保のため高水準の賃上げを行う企業が多いとされました。幅広いコストの上昇分を販売価格に転嫁する動きも進んでいます。中東情勢による物流の停滞や原材料不足の影響は、和らいでいるとの報告が多くなりました。一方、内閣府の9月の景気ウォッチャー調査では、現状判断DIが47.0と前月より0.6ポイント上がりました。先行き判断DIは47.4で、0.9ポイント下がりました。

T&S の見方

賃上げと価格転嫁が地方にも広がるのは、内需主導の成長に向けた前進です。積極財政で需要を支え、この流れを止めないことが大切です。ただ、先行きの指数は下がりました。外の要因による下押しは和らいだものの、なくなったわけではありません。反対の見方では、価格転嫁の広がりは物価高の定着でもあり、日銀の利上げを早める根拠になります。

経営者への含意

企業間取引では、コスト上昇分の転嫁が進んでいます。コスト上昇分の転嫁は、今の時期に交渉を進めてください。人材の確保には、賃上げの水準を同業と比べて点検することが欠かせません。

貿易赤字と、海外から稼ぐ構造

事実

10月8日、財務省は8月の国際収支を公表しました。経常収支は黒字で、黒字幅は前年同月より広がりました。貿易収支は、前年同月の黒字から赤字に転じました。サービス収支は赤字ですが、赤字幅は縮みました。第一次所得収支は黒字で、黒字幅が広がりました。輸出は12か月連続、輸入は7か月連続で増えています。

T&S の見方

日本の黒字は、物を売る力より、海外に置いた資本の配当や利子に頼る形になっています。国内で作り、国内で稼ぐ力が細ると、有事の供給力も細ります。製造業の国内回帰と、食料やエネルギーの輸入を減らす投資を急ぐべきです。反対の見方では、海外投資の収益は成熟した経済の強みであり、無理に国内へ戻す必要はありません。

経営者への含意

輸入コストの変動は今後も続く前提で、調達先の分散と在庫の持ち方を見直してください。輸出が伸びる分野では、国内での増産投資の余地を検討する価値があります。

サプライチェーン経由のサイバー被害

事実

10月9日、経済産業省は不正アクセスへの注意喚起を出しました。サプライチェーンを経由した侵害を含め、国内の企業や組織で情報漏えいなどの被害が相次いでいるためです。自社だけでなく、取引先を含めた対策を求めました。組織のトップが主導すること、脆弱性への早い対応、ゼロトラストへの移行を挙げています。被害が起きたときは、所管の担当課へ速やかに報告するよう求めました。2027年3月には「SCS評価制度」の開始が予定されています。

T&S の見方

サイバー攻撃は、平時に企業を狙う経済安全保障上の脅威です。中小の取引先が入口になる以上、国が基準を示して底上げする方向は妥当です。反対の見方では、評価制度が中小企業に過大な負担となり、取引から外される企業が出るおそれがあります。

経営者への含意

大手との取引では、評価制度への対応を求められる場面が増えます。自社のアクセス管理と、外部からの接続経路を今のうちに棚卸ししてください。

洋上風力と被災地の事業再建

事実

10月8日、経済産業省と国土交通省は、洋上風力のサイト調査の対象区域を公表しました。新たに和歌山県沖(東側)と鹿児島県いちき串木野市沖を選びました。北海道檜山沖では追加の調査を行います。政府や自治体が案件の初期段階から調査に関わる「セントラル方式」の一環です。10月9日には、令和8年熊本地震で被災した事業者のため、熊本商工会議所に相談センターが開設されました。多重債務の問題に対応する復興支援ファンドも設立されます。

T&S の見方

洋上風力は、国内で賄えるエネルギーを増やす手段の一つです。政府が先に調査を担うことで、事業者の負担と時間を減らせます。反対の見方では、洋上風力は費用が高く、出力も天候に左右されます。原子力などの安定電源を優先すべきだという意見があります。

経営者への含意

対象区域の周辺では、港湾や建設、保守の需要が見込まれます。九州の被災地に取引先がある企業は、相手の資金繰りと供給の状況を確認してください。

出典

  1. 地域経済報告(さくらレポート、2026年10月)(日本銀行)
  2. 各地域からみた景気の現状(2026年10月支店長会議における報告)(日本銀行)
  3. 景気ウォッチャー調査 令和8年9月調査 結果の概要(内閣府)
  4. 令和8年8月中 国際収支状況(速報)の概要(財務省)
  5. 不正アクセスによる情報漏えい等の事案を踏まえた注意喚起及び情報提供に係る協力依頼(経済産業省)
  6. 洋上風力発電のセントラル方式によるサイト調査対象区域について(経済産業省)
  7. 「熊本産業復興相談センター」の開設及び「令和8年熊本地震復興支援ファンド」の設立について(経済産業省)