T&S Asset Management

2026年10月28日(水)

輸出に「足踏み」の景気判断と、副首都の要件を定める政令

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今日の要点

  • 10月の月例経済報告は景気が「緩やかに回復」との判断を維持し、輸出を「このところ持ち直しの動きに足踏みがみられる」に改めました。
  • 9月の企業向けサービス価格指数は、前年同月比3.7%上昇しました。
  • 副首都の要件などを定める施行令が、10月27日に閣議決定されました。
  • 日本とバングラデシュの首脳はBIG-B構想の進化で一致し、日本は巡視船の供与を決めました。
  • 中国・台湾産のステンレス鋼板に、10月31日から5年間の不当廉売関税が課されます。

景気は「緩やかに回復」、輸出に足踏み

事実

10月27日、月例経済報告等に関する関係閣僚会議が開かれました。内閣府の会議資料によると、景気は「緩やかに回復している」との判断を維持しました。輸出は「このところ持ち直しの動きに足踏みがみられる」に変わりました。国内企業物価は「このところ横ばいとなっている」、消費者物価は「このところ上昇している」に改めました。個人消費は「持ち直しの動きがみられる」で据え置きです。

日本銀行によると、9月の企業向けサービス価格指数は前年同月比3.7%上昇しました。8月の3.5%から伸びが高まりました。運輸・郵便は8.4%、リース・レンタルは11.7%上がりました。広告は5.2%下がりました。

T&S の見方

輸出の足踏みは、外需に頼る成長の弱さを示しています。内需と国内投資を厚くする積極財政の意味は増しています。サービス価格の上昇は、物流や設備の費用が企業の間で転嫁されている表れです。反対の見方では、物価が上がる局面で財政を拡げれば、金利の上昇を通じて家計と企業の負担が増えます。

経営者への含意

輸送とリースの費用は、来期も上がる前提で見積もってください。輸出の比率が高い事業は、受注の動きを月ごとに確かめると安心です。

副首都法の施行令を閣議決定

事実

10月27日の閣議で、副首都の整備などに関する法律の施行令が決まりました。この法律は7月31日に公布されました。大規模な災害で東京圏の首都中枢機能の維持が難しくなったとき、その全部または大部分を一定期間担う道府県を副首都とします。指定するのは首相で、道府県議会の議決を経た申請が必要です。10月に意見募集された政令案では、国の地方支分部局が14以上ある市町村があることを要件としています。案では、指定都市の人口が全国の1.2%以上、道府県内総生産が国内総生産の2.1%以上であることも求めています。特別区の設置か、道府県と指定都市の連携協約の締結も必要としています。施策は令和12年度末まで集中的に進めます。

T&S の見方

首都機能の予備を国内に持つことは、国家の継続性を守る安全保障の備えです。一極集中を和らげ、地方の産業基盤を育てる効果も見込めます。反対の見方では、新たな拠点の整備は費用がかさみ、要件を満たす一部の大都市への集中を強めるだけになるおそれがあります。

経営者への含意

本社機能や重要なシステムの予備拠点を選ぶとき、副首都の候補地域の動きを判断材料に加えてください。

バングラデシュと「繁栄を分かち合うBIG-B」

事実

10月27日、首相はバングラデシュのタレク・ラーマン首相と会談しました。両首脳は「ベンガル湾産業成長地帯(BIG-B)」構想を進化させ、「繁栄を分かち合うBIG-B」として進めることで一致しました。柱は、連結性の強化、災害・地政学リスクへの備え、官民による経済成長機会の共創とルール整備、平和と安定のための協力の四つです。首相は、日本企業の新規投資で、今後5年間に20万人の雇用創出が見込まれると説明しました。日本は海上保安能力の向上のため、巡視船の供与を決めました。共同声明も出されました。

T&S の見方

ベンガル湾は、インド洋と東南アジアを結ぶ海の要です。巡視船の供与は、日本の資源とエネルギーの輸送路の安全にもつながります。反対の見方では、海外への投資の拡大は国内の雇用と設備投資を細らせます。相手国の政情が変われば、投資が損なわれる危険もあります。

経営者への含意

南アジアで生産や調達の分散を考える企業は、首相が派遣の意向を示した経済ミッションを活用できます。投資環境の改善が実際に進むかを見極めてから判断してください。

ステンレス鋼板に5年間の不当廉売関税

事実

10月27日、中国(香港・マカオを除く)と台湾を原産地とするニッケル系ステンレス冷延鋼帯・冷延鋼板に、不当廉売関税を課す政令が閣議決定されました。政令は10月30日に公布されます。10月31日から令和13年10月30日までの5年間、3.6%から42.1%の税率で課されます。税率は暫定措置と同じです。経済産業省は、国内の需要家向けに相談窓口を設けています。

T&S の見方

不当に安い輸入品から国内の素材産業を守ることは、供給網の自立に欠かせません。反対の見方では、関税で輸入価格が上がれば、鋼板を使う加工業や最終製品の競争力が落ちます。

経営者への含意

ステンレス鋼板を使う企業は、5年間続く前提で調達先と価格を見直してください。

出典

  1. 月例経済報告等に関する関係閣僚会議 令和8年10月27日(首相官邸)
  2. 月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料 令和8年10月(内閣府)
  3. 企業向けサービス価格指数(2026年9月速報)(日本銀行)
  4. 令和8年10月27日(火)定例閣議案件(首相官邸)
  5. 国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律(参議院)
  6. 国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律施行令等(案)について(内閣官房)
  7. 日・バングラデシュ首脳会談(首相官邸)
  8. 日・バングラデシュ首脳会談(外務省)
  9. 中華人民共和国産並びに台湾、澎湖諸島、金門及び馬祖から成る独立の関税地域産ニッケル系ステンレス冷延鋼帯及び冷延鋼板に対する不当廉売関税の課税を決定しました(経済産業省)