2026年10月17日(土)
対米半導体事業の始動と、補正予算の「緊要性」
- 日米は「戦略的投資イニシアティブ」で初の半導体事業に合意。片山財務相はG20などで重要鉱物を含むサプライチェーンの多様化を訴えました
- 補正予算は「真に緊要性の高い施策」に限る方針です。8月の機械受注は前月比5.2%増と2か月ぶりに増えました
今日の要点
- 日米両政府は、「戦略的投資イニシアティブ」で初めての半導体事業を進めることで合意しました。
- 片山財務相は、G20などの会合で重要鉱物を含むサプライチェーンの多様化とAIのリスク対応を主張したと説明しました。
- 補正予算は緊要性の高いものに限り、恒常的な施策は当初予算で手当てする方針です。
- 8月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比5.2%増でした。基調判断は据え置きです。
G20を終えて、重要鉱物と不均衡
事実
10月16日、片山財務相は閣議後の会見で、G20とG7の財務相・中央銀行総裁会合を振り返りました。日本は、重要鉱物を含むサプライチェーンの多様化と、AIがもたらすリスクへの対応を主張しました。AIについては、G7などで机上演習を行うことになったと説明しました。中国の大幅な黒字と米国の大幅な赤字という世界的な不均衡についても、是正に向けた日本の考えを伝えたとしています。インドとは、財務相どうしの二国間協議に格上げする方向でほぼ合意しました。
T&S の見方
重要鉱物の調達先を広げる議論は、経済安全保障の土台です。特定の国への依存を減らす方向は評価できます。インドとの対話の格上げも、調達網を広げる足場になります。一方、多国間の場で決めた原則は、各国の政策の自由度を狭めることがあります。反対の見方では、多国間の枠組みがあるからこそ、一国では動かせない供給網の改善が進みます。
経営者への含意
重要鉱物や部素材を使う企業は、調達先が一つの国に偏っていないかを点検してください。インドとの関係強化は、調達や販売の選択肢を増やす材料になります。
補正予算は「真に緊要」に限る
事実
同じ会見で、補正予算についての質問が出ました。片山財務相は、補正予算は緊要性の高いものに限り、恒常的な施策は当初予算で措置する方針だと説明しました。骨太の方針2026に沿い、今秋以降に補正が必要になっても「真に緊要性の高い施策」に限るとしています。編成が必要かどうかは「予断を持って申し上げられる状況ではない」と述べました。
T&S の見方
恒常的な施策を当初予算に寄せる考え方は、予算の見通しを立てやすくします。ただ、補正を絞る姿勢が強すぎると、景気の弱さに機動的に対応しにくくなります。景気が想定より弱い場合に備え、積極的な財政出動の余地を残すべきだと考えます。反対の見方では、補正の常態化を断つことこそが、金利の上昇を抑え、長い目で財政の自由度を守ります。
経営者への含意
年度途中の補助金や支援策は、例年より規模や対象が絞られる可能性があります。来期の計画は、補正頼みにしない前提で立ててください。
日米の半導体事業が始動
事実
経済産業省によると、日米両政府は米国時間10月14日、「戦略的投資イニシアティブ」のもとで半導体製造の事業を進めることで合意しました。このイニシアティブで初めての半導体事業です。場所は米国ニューヨーク州で、自動車や産業機械、AIデータセンターなどに使う成熟ノード半導体の製造能力を増やします。2026年内に着工する予定です。日本からは、製造装置や部素材の供給、製品の購入などで企業の参画が見込まれています。
T&S の見方
同盟国と組んで半導体の供給網を固めることは、経済安全保障上の意味があります。日本の装置や部素材の強みを生かせる点も前向きです。一方、投資先が国外であるため、国内の生産基盤や雇用への効果は限られます。反対の見方では、米国内に日本企業の取引先を確保することで、関税や輸出規制の変化に強い供給網ができます。
経営者への含意
半導体の装置や部素材を扱う企業には、新たな受注の機会になりえます。米国での取引条件や現地の規制を早めに確認してください。
8月の機械受注は2か月ぶりの増加
事実
内閣府が10月15日に公表した8月の機械受注統計で、船舶・電力を除く民需は前月比5.2%増えました。増加は2か月ぶりです。製造業は1.6%増、船舶・電力を除く非製造業は2.9%増でした。外需は7.7%減りました。基調判断は「持ち直しの動きがみられる」で据え置きです。7〜9月期の見通しは、前期比4.9%増です。
T&S の見方
国内の設備投資の先行きを示す数字が増えたことは、内需にとって明るい材料です。国内に生産能力を持つことは、供給網の安定にもつながります。一方、外需の減少は、海外の需要が鈍っている可能性をうかがわせます。反対の見方では、月ごとの振れが大きい統計のため、一か月の増加で回復と判断するのは早すぎます。
経営者への含意
機械や設備の関連業種は、国内向けの受注が底堅い前提で計画できます。輸出の比重が大きい企業は、海外需要の鈍化に備えてください。