T&S Asset Management

2026年10月22日(木)

就任1年の首相会見と、5か月連続の貿易赤字

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今日の要点

  • 首相は就任1年の会見で、物価上昇率が1年前の2.9%から1.9%に下がったと述べました。
  • 9月の貿易収支は5か月連続の赤字でした。輸入は原粗油などが増え、18.9%伸びました。
  • 財務相は、防衛力強化の財源について、具体的な手法は決まっていないと述べました。
  • 金融庁は金融機関に、ICチップ情報の読み取りによる本人確認などを求めました。
  • 首相はフィリピンの大統領との電話会談で、AZECの首脳会合の共同開催での協力を呼びかけました。

就任1年、物価と賃金を強調

事実

10月21日、首相は就任1年の節目に記者会見を開きました。物価上昇率は1年前の2.9%から1.9%に下がり、G7で最も低い水準だと述べました。実質賃金の上昇率は直近で9か月連続のプラスとなり、1.9%だとしました。一方、飲食料品は3%程度の上昇が続いているとして、消費税・支援金法案を今国会に出したと説明しました。インテリジェンス機能を強めるため、国家情報会議と国家情報局を置いたとし、国家情報戦略もまとめるとしました。防衛力だけでなく、技術力や経済安全保障にも関わる三文書も見直します。この1年の教訓と反省として、先手で政策をつくることの重要性と、国民への発信の不足を挙げました。

T&S の見方

物価が落ち着き、実質賃金がプラスに転じたことは、家計を支える積極財政の成果として読めます。情報機関の整備は、主権国家として自前の判断材料を持つための土台です。反対の見方では、物価の落ち着きは補助で価格を抑えた効果が大きく、補助をやめれば元に戻るおそれがあります。

経営者への含意

飲食料品の値上がりは、一般の物価より速いままです。食品を扱う企業は、法案の審議の行方を見ながら価格と仕入れの計画を立ててください。

9月の貿易赤字、輸入は原粗油が押し上げ

事実

10月21日、財務省は9月の貿易統計の速報を公表しました。輸出は前年同月より16.7%増え、13か月連続で増えました。半導体等電子部品と自動車が伸びました。輸入は18.9%増え、原粗油と半導体等電子部品が増えました。差引は5か月連続の赤字です。米国向けの輸出は22.9%増え、自動車の寄与が最も大きくなりました。中国との収支は66か月連続の赤字です。4〜9月の上半期では、輸出が18.4%、輸入が20.4%増え、差引は11期連続の赤字でした。

T&S の見方

輸入の伸びを原粗油が押し上げる構図は、エネルギーを海外に頼る弱さを映しています。中国との赤字が5年以上続いていることも、供給網の偏りを示します。反対の見方では、輸出は1年以上伸び続けており、赤字は国内の需要と投資の強さの表れでもあります。

経営者への含意

輸入原材料の価格は、中東情勢と為替に左右されやすい状態です。調達先を複数持ち、価格転嫁の条項を契約に入れておくと安心です。

防衛財源と支援金、具体策はこれから

事実

10月20日、財務相は閣議後の会見で、防衛力強化の財源について問われました。会見では、法人税の増税案についての質問が出ました。財務相は、財政の持続可能性に配慮して検討しているとし、具体的な手法は「全く」決まっていないと述べました。三文書は今年中に改定する方向です。支援金については、税・社会保険料の負担を軽くし、いわゆる「年収の壁」による働き控えをやわらげて就労を促すことが目的だと説明しました。具体的な水準などは、恒久財源の確保状況や物価・賃金の動向、国会審議を踏まえて決めるとしています。

T&S の見方

防衛は国家の基本的な務めであり、財源の議論が増税だけに偏るべきではありません。国債も含めた選択肢を並べ、国内の生産力を高める支出として位置づける視点が必要です。反対の見方では、恒久的な支出には恒久的な財源が欠かせず、国債に頼れば将来の金利負担が膨らみます。

経営者への含意

年末にかけて、防衛財源と税制の議論が重なります。来期の税負担は、幅を持って見込んでください。

金融機関の委託先から個人情報が漏えい

事実

同じ会見で財務相は、10月に証券、損害保険、生命保険の3社で、委託先への不正アクセスにより個人情報が漏えいした事案があったと述べました。金融庁は10月9日に金融機関へ注意喚起を出し、本人確認をICチップ情報の読み取りで行うことなどを求めました。委託先を含めたサイバーセキュリティ対策も求めています。漏えいした情報を使ったなりすましの借入や口座開設の被害は、現時点では把握していないとしました。

T&S の見方

個人情報は、国民の財産と安全に直結します。委託先まで含めて守る責任を、金融機関に求める方向は妥当です。反対の見方では、ICチップの読み取りを広げると、対応できない利用者や小さな事業者に負担が偏ります。

経営者への含意

顧客情報を外部に預けている企業は、委託先の対策と、事故が起きたときの報告の流れを契約で確かめてください。

フィリピンとAZECで連携

事実

10月20日、首相はフィリピンのマルコス大統領と約20分、電話で会談しました。首相は、中東情勢の不安定な状態が長引くなか、関係国が連携して経済とエネルギーの強靱性を高める必要があると述べました。そのうえで、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の首脳会合の共同開催での協力を呼びかけました。フィリピンは今年のASEAN議長国です。大統領は、11月のASEAN関連の首脳会議に向けて日本と協力したいと応じました。

T&S の見方

中東情勢の影響を受ける国どうしが組むことは、輸送路の危機への備えになります。海上交通路を共有するフィリピンとの連携は、安全保障の面でも重みがあります。反対の見方では、脱炭素を軸にした枠組みは設備投資の負担が重く、足元の燃料の確保にはすぐには役立ちません。

経営者への含意

11月のASEAN関連会議に向けて、エネルギー分野の協力案件が示される可能性があります。東南アジアで事業を持つ企業は、その発表を確認してください。

出典

  1. 総理就任1年の節目を迎えての会見(首相官邸)
  2. 令和8年9月分貿易統計(速報)の概要(財務省)
  3. 令和8年度上半期分貿易統計(速報)の概要(財務省)
  4. 片山財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和8年10月20日)(財務省)
  5. Japan-Philippines Summit Telephone Meeting (Summary)(首相官邸)